昔からわれわれの生活に深く根ざしてきた木。時代が変わり人々のライフスタイルが変化しても、木に対する愛着、木を欲する心は変わりません。われわれの生活から自然が失われていく今だからこそ、もっとも身近に自然を感じさせてくれる木を欲するのかもしれません。
木のナチュラルな質感と豊かな表情は、人々の心を優しく癒す力を秘めています。木に触れそのぬくもりを感じるとき、ひととき自然の中に身をおく心地よさを感じることができます。
わたしたちはそんな自然の木を身近かな生活のワンシーンに取り入れたいと考えました。建築材や家具といったものだけでなく、ふだん何気なく手に取ったり、身につけたりする小さなもの、たとえばバッグやアクセサリーといったものに。
天然の木をスライスして取った「突板」に柔軟剤を含浸させ不織布やトリコット、天然皮革を裏貼りすることによって、天然木の持つあたたかな質感を損なわずに、強度を保つことができます。こうして生活のあらゆる場面で用いるものに天然木を生かせるようになりました。まずはバッグやベルト、手帳など雑貨の製品化からはじめ、将来的にはアパレルの新素材として天然木を活用したいと考えています。
わたしたちにもっとも身近な自然である木、その用途と可能性は限りなく広がっていきます。
木にはそれぞれ表情があり個性があります。一つとして同じ模様のものはありません。自然のものだけが持つ豊かな個性とぬくもりは、人々の暮らしをさらに豊かなものにすることでしょう。